WWEのスーパースターとなった日本人ヨシ・タツが、8月20日(土)&21日(日)に東京・両国国技館で開催される「WWE RAW presents サマースラムツアー2010」で待望の凱旋帰国を実現させる。ヨシ・タツとは、元・新日本プロレスの山本尚史。現在ではWWEにおける唯一の日本人として活躍中で、ヨシ・タツとしては“初来日”ということになる。
(構成・文:新井宏)



★公演名:『WWE RAW presents サマースラムツアー2010』
★公演日時:8・20(金)19時00分開演
      8・21(土)18時00分開演
★会 場:両国国技館

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©WWE


 新日本では2002年10月にデビュー。同期には中邑真輔、後藤洋央紀、田口隆祐、長尾浩志がいる。「IWGPヘビー級のベルトに憧れて」レスラーになったという彼には、「どうしても抜けないだろう」という同期がいた。08年2月の両国大会、中邑真輔が元・WWEのスーパースター、カート・アングルを破りIWGPヘビー級のベルト問題に決着をつけた。オリンピックのゴールドメダリストでもあるアングルを倒した中邑の姿を見て、「いまのままでは試合内容でも存在感でも勝てない」と痛感したという。

さらには、もうひとりの同期である後藤洋央紀からも刺激を受けた。後藤はこれまでのメキシコ修業の常識を覆す姿で凱旋。メキシコで体を見違えるほど大きくし、逞しさを数倍増して帰ってきた。ジュニアだった男が、ヘビー級に転向、しかもIWGPヘビー級王座に挑戦できるほど強くなっていたのだ。

「体格や雰囲気が全然変わっていて、あれだけ強くなったのに、棚橋(弘至)や中邑を超えたわけではない。自分が彼らを抜くにはどうするべきなのか。そう考えたときに、世界で一番のWWEに上がって、そこで名を上げればいいのではないかと思ったんです」

 07年11月からアメリカに遠征していた彼は、08年4月にWWEの育成選手として契約に至る。しばらくはファーム団体FCW(フロリダチャンピオンシップレスリング)での修業が続いたが、09年6月30日、ついにECWブランドでのデビュー戦へとたどり着いた。ここでは身体能力ならWWEナンバーワンともいえるシェルトン・ベンジャミンから衝撃の勝利。以後、ECWのベビーフェースとして徐々に人気を高めていく。

 1軍デビューから4ヵ月後の10月27日には、クリスチャンの保持するECWヘビー級王座に挑戦のチャンスを得た。惜しくもメジャータイトル奪取こそならなかったが、ECWのテレビ放送にレギュラー出演するようになっていく。ECWブランドは消滅したものの、番組最終回のメインではザ・ミズ&ビッグ・ショーのWWE統一タッグ王座に挑戦。ブランドを超えてやってきた王者に番組最終回で挑戦したということは、ヨシ・タツが“ECW最後の顔”になったのだ。

 ヨシ・タツの所属したECWはその後、「NXT」としてリニューアルされた。NXTとは次代のスーパースターを育成するWWEのニューブランド。後期のECWからはヨシ・タツをはじめ、シェイマスらが1軍デビュー、オリジナルECWのイメージは消え、次代のスーパースターを発掘する意味合いが大きかった。それだけに、ヨシ・タツたちがNXTへの橋渡しをしたことにもなるのだろう。

 今年4月におこなわれたドラフトにより、ヨシ・タツはロウブランド所属となった。このドラフトではロウがスマックダウンを上回るであろうスーパースター陣を獲得。そんなこともあって、現在のヨシ・タツはロウ所属ながら本編にはあまり絡んでいない。ロウの大会でおこなわれるその他の試合を収録した「スーパースターズ」枠か、ダークマッチへの出場が中心だ。
 それでも、ヨシ・タツ個人に送られる声援は大きい。ベビーフェースというポジションも理由のひとつとはいえ、ファンは彼の動きのよさから歓声を上げることのほうが多い。それは、実際にヨシ・タツの試合を現地で観ての実感だ。それだけに、こんどの凱旋帰国は山本尚史からヨシ・タツに生まれ変わった姿を確認する絶好の機会。ヨシ・タツ本人も、両国2連戦を今後を左右する闘いと捕えている。

なんといっても、発表されたカードが破格。初日があのクリス・ジェリコとのシングルマッチで、2日目がメイン。しかも現在のエースといえるジョン・シナと組み、シェイマス&ジェリコ組と対戦するのだ。

「お客さんに観てもらう試合ということだけでなく、オフィスにもメインでやれるんだとアピールする、とても重要な試合です」と、ヨシ・タツはいう。初日に闘うジェリコは日本を知り尽くした相手。WWEのスーパースターになって久しいが、来日公演のたびに日本で学んだテクニックを披露している。WWEでのキャラクターを守りつつ、日本向けのスタイルもやってのけるのだ。2日目に組む、ジョン・シナからはさまざまなアドバイスを受けるのだという。対角線にはシナを執拗に追いかけるシェイマスがいる。シナとシェイマスの抗争にヨシ・タツがどれだけ食い込めるかも、試合のカギを握りそうだ。



 日本公演をまえにした7月8日、ヨシ・タツはディーバのマリースとともに来日、記者会見をおこなった。この会見でヨシ・タツは、こんなコメントを残している。

「現時点でのロウの立場を考えたら不相応な扱いをしてもらってると思います。こんどくるときには、後ろめたさを感じさせないポジションになりたいと思います」

 ロウのメインストリームに絡んでいないにも拘らず、大々的な記者会見を開き、両国2連戦では主要カードに名を連ねた。しかも2日目はシナかシェイマスがWWEヘビー級王者である可能性が高い。そのなかでのメインイベント登場。それだけに、現在のヨシ・タツが凱旋ということだけで主役となっている事実に後ろめたさを感じてしまうのも無理はない。とはいえ、これをきっかけにロウの中心に割り込んでいく可能性は十分にあるのではなかろうか。

 本公演は「レッスルマニア」に次ぐ大きなPPV「サマースラム」(8・15ロサンゼルス)からわずか5日後。「サマースラム」までに、ヨシ・タツが本編に絡んでいる可能性だって捨てきれないし、「サマースラム」への出場もあるかもしれない。いずれにしても、両国2連戦は、真のスーパースターへの飛躍をかけたターニングポイント。その瞬間を目撃するためにも、この2日間は絶対に見逃せない!            


 世界最大のプロレス団体WWEでは、所属選手を「レスラー」ではなく、「スーパースター」と呼ぶ。世界中でテレビ放送されているWWEだけに、「スーパースター」の呼称は大げさでもなんでもない。では、「WWEスーパースター」の中で現在もっとも「スーパースター」と呼べるのは誰なのか。

★公演名:『WWE RAW presents サマースラムツアー2010』
★公演日時:8・20(金)19時00分開演
      8・21(土)18時00分開演
★会 場:両国国技館
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HHHやジ・アンダーテイカーが欠場しているいま、真の意味での「スーパースター」のなかの「スーパースター」は、ジョン・シナなのではないか。海外に行ってみると、そのことはすぐにわかる。アメリカはもちろん、メキシコやヨーロッパでも、WWEが公演をおこなうような国ではWWEグッズが当たり前のように街で売られている。なかでももっとも目にするのが、ジョン・シナ関連のグッズである。とくにチビッコファンの人気が高く、シナのTシャツを着たこどもたちの姿は試合会場付近はもちろんのこと、ふだんの生活のなかでもふつうに見かけることができるのだ。

そのシナが、こんどの日本公演にやってくる。8月20日(金)&21日(土)、東京・両国国技館での2DAYSは、ロウブランドでの上陸だ。シナはロウのメンバー。エースとしての来日と考えていい。

シナの初来日は2003年7月のスマックダウンだった。以来何度かWWEのメンバーとして日本に来ているが、8月の来日こそ、エースとしてのシナを存分に味わえる内容になると思われる。6月のPPV「フェイタル4ウェイ」では4人同時に闘うタイトルマッチでWWE王座を失ってしまったものの、今後もロウの主役であることに変わりはない。とくにここ数ヶ月に及んだバティスタとの激闘を振り返れば、現在のエースは間違いなくシナである。

バティスタとシナは、ファーム団体であるOVW時代からのライバルだった。レイ・ミステリオとの抗争からヒールに転向したバティスタは、次なる標的をシナに定めた。というのも、シナはかねてからバティスタのジェラシーの対象だった。

WWEデビュー後の数年間はレスリング経験の少なさもあって、シナは人気先行型の「スーパースター」だった。こどもたちには絶対的な人気を誇りながらも、通のファンからはブーイングの対象になっていた。しかしながら、経験を積んでいくうちにブーイングを飛ばされるケースは少なくなっていく。正直、いまでもブーイングはある。しかし現在のそれは、バティスタがシナにジェラシーを抱いたようなやっかみ半分のもの。一部ファンに“反シナ”の気持ちを抱かせるのも、「スーパースター」中の「スーパースター」である証しなのだろう。

とにかく、2・21「エリミネーション・チェンバー」からスタートしたPPVでの連戦はすさまじかった。ここではバティスタがWWE王座をゲットしたばかりのシナを奇襲する形でタイトルを横取り。次の「レッスルマニア26」では、バティスタが王者としてシナを迎え撃つ形になっていた。この頃からバティスタはシナへの積年のジェラシーを爆発させていた。「本当は、自分こそいまのシナのポジション、WWEの顔になるはずだったんだ」と・・・。

「レッスルマニア26」のセミにラインナップされた両者の対決は、シナの王座奪回で幕を閉じた。しかし、バティスタは執拗にシナを追いかけつづけた。4・25「エクストリーム・ルールズ」では“ラストマンスタンディングマッチ”、5・23「オーバー・ザ・リミット」では“アイ・クィット・マッチ”というともに厳しい条件がついた形式でメインでの対戦。

前者ではコーナーに括られ立ち上がれなくされるというシナの頭脳プレーにやられた。そしてどちらかが「アイ・クィット(やめる)」というまでつづく後者では、シナに担がれ車の上からステージ下へ落とされそうになったバティスタが恐怖のあまり「アイ・クィット」と口走ってしまった。PPVの正式な試合での同一カード3連戦も異例なら、3−0というスコアも異例だろう。

これをきっかけにして、バティスタはWWEから姿を消した。いずれはふたたびリングに上がると期待したいが、シナはライバルとの闘いに一応のピリオドを打ち、エースであることを満天下に知らしめたのである。その後、NXT軍の標的にされたのも、シナがおいしい存在だからこそ。それだけに、こんどの日本公演でのシナには注目が集まるのだ。

 8・21、2日目の両国では、シナとヨシ・タツがタッグを組み、クリス・ジェリコ&シェーマス組と対戦する予定になっている。日本凱旋のヨシ・タツには、真の「スーパースター」となったシナのオーラから直接なにかを得るチャンスでもある。シナは「スーパースター」でありつづけることで、真の「スーパースター」としてのアテチュード(心構え)を習得した「スーパースター」なのだ。(新井 宏)
WWEが両国国技館スモーアリーナに初上陸“ドラフト勝ち組”ロウのメンバーが大挙してやってくる!

8月20日(金)&21日(土)、世界最大のプロレス団体、WWEが1年ぶりの日本上陸を果たす。現体制になってから通算で12度目となる日本公演「サマースラムツアー2010」の舞台は、東京・両国国技館。都内においてはこれまで日本武道館や有明コロシアムで試合をおこなってきたが、今回はじめて両国が選ばれた。ということは、日本の国技、相撲の土俵上にWWEのリングが設置されるのだ。ロウならレッド、スマックダウンならブルー。どんな会場においても一瞬にしてWWEのカラーに染めてきたリングが“スモーアリーナ”でどんな風景を現出させるのか、まずはそこからが今回の来日公演における注目ポイントだろう。


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★公演名:『WWE RAW presents サマースラムツアー2010』
★公演日時:8・20(金)19時00分開演
      8・21(土)18時00分開演
★会 場:両国国技館
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 さて、こんどの日本公演は「ロウ」ブランド主催となる。「ロウ」が日本にやってくるのは08年2月の有明&武道館公演以来、2年半ぶりのこと。それだけに、ブランドのスーパースターは顔ぶれがガラッと替わっている。そのうえ、「レッスルマニア26」直後の3・26リッチモンド大会において「ドラフト」がおこなわれ、選手の所属先がシャッフルされた。「ロウ」には誰がやってきて、誰が残ったのか。現在の「ロウ」メンバーが来日する可能性が高いだけに、そのあたりを整理してみよう。「ドラフト」によって「ロウ」所属となったスーパースターは、以下の通り。


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 HHH、ジョン・シナ、バティスタ、ランディ・オートン、エッジ、クリス・ジェリコ、シェーマス、テッド・デビアス、ザ・ミズ、DH・スミス、エヴァン・ボーン、エゼキエル・ジャクソン、ゴールダスト、ジョン・モリソン、マーク・ヘンリー、カリート、プリモ・コロン、R・トゥルース、サンティーノ・マレラ、グレート・カーリ、タイソン・キッド、ウラジミール・コズロフ、ウイリアム・リーガル、ヨシ・タツ、ザック・ライダー、アリシア・フォックス、ベラ・ツインズ、イブ、ゲイル・キム、ジリアン、マリース、メリーナ、ナタリア。
 
 こうしてみると、今年の「ドラフト」においては「スマックダウン」よりも「ロウ」のほうにクジ運があったといっていいのではないかと思う。“スーパースター度”においては、「ロウ」のほうが勝っているように見えるのだ。それだけに、このタイミングでの日本公演はうれしい限りである。

 とはいえ、「サマースラム」後の上陸とあって現在のメンバーがそのまま日本にスライドしてくるとは限らない。実際に、カリートが5月下旬にリリースされた。バティスタは5月のPPV「オーバー・ザ・リミット」後に退団した。HHHは首を負傷しており、4・25「エクストリーム・ルールズ」以降欠場中。映画の撮影もあるというから、来日するかどうかはいまのところ微妙だろう。

 それでも、ジョン・シナ、ランディ・オートン、クリス・ジェリコ、シェーマスといった旬のスーパースターたちがいっせいにやってくるのは魅力的。やはり、今回の「ロウ」は“ドラフト勝ち組”による豪華版だ。

 さらには、「スマックダウン」からのゲスト参戦も発表されている。レイ・ミステリオがブランドの枠を飛び越えてランディ・オートンとシングルで対戦(8・21両国)。また、ビッグショーの名前も挙がっている。WWEのスーパースターたちにとって、やはり日本は特別な場所なのだろう。これ以外にも、アッと驚く選手の参戦、ブランド移籍による緊急上陸もあるかもしれない。

 なにしろ、日本公演は夏の大一番8・16「サマースラム」直後である。当初では、8・20でのクリス・ジェリコvsヨシ・タツ、WWEヘビー級選手権試合<王者>シェーマスvs<挑戦者>ジョン・シナ、8・21でのジョン・シナ&ヨシ・タツ組vsクリス・ジェリコ&シェーマス組、レイ・ミステリオvsランディ・オートンのカードがアナウンスされていたが、これらはあくまでも目安と考えておいたほうがいい。「サマースラム」やそれ以前の結果によってカードが変わるだろうし、PPVの再戦が日本で実現する期待もある。

 そもそも、「サマースラム」後も王者が王者でいつづけられるとは限らない。バティスタとの抗争に一応の決着をつけたシナだが、6・20PPV「フェイタル・フォー・ウェイ」でランディ・オートン、エッジ、シェーマスを同時に挑戦者として迎え撃ち王座防衛に失敗した。新王者はシェーマス。シナが挑戦者として日本で再戦する可能性もあれば、シナが王座に返り咲いていることも考えられる。
いずれにしても、「ロウ」ブランドのチャンピオンが日本で防衛戦をおこない、旬の抗争が日本に持ち込まれることは必至。8・15「サマースラム」前にも、6・20「フェイタル・フォー・ウェイ」、7・18「マネー・イン・ザ・バンク」のPPVは要チェックである。       (構成・文:新井 宏)