世界最大のスポーツエンターテインメントを提供するWWEが、今年も日本の夏を賑わせる。来る7月1日(金)&2日(土)、東京・両国国技館で「WWE Live Japan」が開催されるのだ。

 WWEの日本公演は、いまや伝説となった“ザ・ロック降臨”の2002年3月1日・横浜アリーナ大会以来、通算で18回目 。夏の両国での開催は5年連続となる(14年は大阪でも開催)。

 しかも今年は、ロック狂騒曲が吹き荒れた横アリ以来の歴史的公演となることが確実なのだ。というのも、日本からアメリカへと渡った中邑真輔、ASUKAの凱旋が決定。しかも、中邑と新日本の東京ドーム大会で対戦したAJ・スタイルズまで、WWEスーパースターとして再びこの地にやってくる豪華版である。もうすでに歴史的2日間が約束されたようなものだろう。

 中邑がWWEと契約をかわしたというニュースは、一瞬にして世界中を駆け巡った。待望のデビューは4月1日、NXT「テイクオーバー:ダラス」。つまりは、年間最大イベントであるレッスルマニアがおこなわれる“レッスルマニアウィーク”での初陣である。あらかじめ大々的にアナウンスされていたことも加え、破格の扱いであることは明白だった。

 しかも驚いたことに、中邑はSHINSUKE NAKAMURAのリングネームで登場した。WWEの場合、これまでの経歴はなかったことにしてフルモデルチェンジするケースがほとんど。先にWWE入りした元NOAHのKENTAもイタミ・ヒデオの新リングネームでデビューした。新日本にカムバックしたヨシ・タツも、このリングネームで闘っていた。WWEが求めるキャラクターへの変身が求められていたのである。

 最近ではサモア・ジョー、オースチン・エリーズらが、ほとんどそのままのキャラクター&スタイルでWWEにやってきており、中邑が前代未聞という表現は必ずしも的確ではない。が、中邑が最近の傾向における最高峰であることに変わりはないだろう。

 中邑真輔は、中邑真輔そのままだった。エビ反りのポーズや痙攣式のストンピングなど“たぎる”ムーブもそのまま。対戦相手が日本スタイルを熟知するサミ・ゼイン(元エル・ジェネリコ)とあって、試合もスイングした。いまWWEで求められているのは、ジャパニーズスタイルの闘い。そう言っても過言ではないほどの好反応が返ってきた。しかも、世界中から――。

 有料動画配信サービス「WWEネットワーク」の誕生により、その場にいなくても試合やオリジナル番組がライブで見られるようになった。日本でも早朝から画面に食い入ったファンも多いことだろう。このシステムが彼の存在感をさらに大きくした。そういう意味でも、中邑は時代の寵児と言えるのかもしれない。

 おなじことは、同大会で日本人初のNXT女子王座を獲得したASUKAにも言えるのではないか(日本人のWWE女子王者はブル中野以来22年ぶり)。華名からリングネームをASUKAに変更したとはいえ、彼女も基本スタイルやキャラクターは日本時代と変わっていない。キックや関節技を駆使した闘いは、WWE女子戦線では異端に見えた。が、これこそWWEが期待していたものだったのだ。

 ではなぜ、WWEが華名に白羽の矢を立てたのか。それは、NXTにおける女子部門の改革を示している。ベルトを奪ったベイリーとのNXT女子タイトルマッチは、かつてのディーバのイメージを覆す内容だった。ASUKAの前にはシャーロット(現WWE女子王者)、サシャ・バンクス、ベッキー・リンチらが先陣を切ってWWEに昇格した。NXTを経験した選手たちが、内容重視の女子プロを展開している。ASUKAが入団したのは昨年9月。シャーロットらのあとを継ぐかたちで、NXTのさらなる充実を託されたのである。

 トリプルHが心血を注いでいるというNXTは、いまやロウ、スマックダウンにつぐ第3のブランドとして認知されつつある。一部にはロウ、スマックダウンよりもNXTを熱烈に支持するファンがいるほどだ。かつてはOVWやFCWというファーム団体が1軍昇格への登竜門として機能していたが、現在はWWEが統括して運営。NXTがNXT独自の価値観を築いており、そこに日本人の中邑とASUKAが所属している。しかもさらなる発展に向け大きな戦力になっている。これは大いに誇っていい。

 そんな2人が、WWEスーパースターとして揃って日本に帰ってくる。中邑人気はますます世界に拡散。試合中に頭を切ったというちょっとした負傷がニュースになるくらい、注目度が高いのだ。ASUKAも無敗のままNXT女子王座を防衛中。凱旋時にはどんな状況で両国のリングに上がるのか。いまから楽しみで仕方がない。

(構成・文:新井 宏)


■大会名:WWE Live Japan
■開催日:7/1(金)〜7/2(土)
■会場:国技館 (東京都)

2016-06-23 18:25 この記事だけ表示

(「【WWE】最新ニュースレター /10月号」より引用掲載)


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 NXT#298(10/2 放送)で、黒のスーツ姿で登場、NXTのGMウィリアム・リーガル立ち会いのもと、改めて公開契約に臨んだ華名あらためアスカは、早速デイナ・ブルックとエマの先輩ディーバ2人からちょっかいを出されます。その場は引き下がったアスカでしたが、これをみたリーガルが2時間スペシャル「NXT テイクオーバー:リスペクト」(10/16 放送)でブルックとの対戦を決定。
 スピードデビューとなったアスカ、期待に違わぬファイトで、ブルック相手に勝利しNXT ユニバースの圧倒的な支持を得ることに成功しました。日本人NXT ディーバ、アスカの今後の活躍にご期待ください。


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●赤い悪魔ケインが復活!王者を地獄(?)へ引きずり込む!?

 PPV「ナイト・オブ・チャンピオンズ」でジョン・シナとユナイテッドステイツ(US)王座戦、WCW レジェンド、スティングとWWE 世界ヘビー級王座戦の2 連戦を敢行したセス・ロリンズ。US 王座は失ったものの、WWE 王座は死守しました。しかしホッとする間もなく、シェイマスが「マネー・イン・ザ・バンク」の「いつでもどこでも挑戦できる権利」を行使しようと登場、必殺技ブローグキックを王者に浴びせ、ロリンズは絶体絶命のピンチに落ち入ります。
 しかしその時、赤い炎とともにマスク姿のケインが復活。ロリンズとシェイマスに次々とチョークスラムを浴びせ、さらにロリンズには必殺のツームストーン・パイルドライバーをお見舞いします。
 これまでいがみ合ってきたケインに救われた形となったロリンズでしたが、PPV 翌日のロウ#1165(10/2 放送)では目を疑うような光景が待っていました。前夜、自らにパイルドライバーを喰らわせたケインが、平然と運営部長に復職していたのです。しかも、どうやら前夜のことはまったく覚えていないような様子で、シナとのUS 王座をかけた再戦を決定してしまいます。
 狐につままれたような状態でシナとの再戦に臨んだロリンズ、前夜に続く激闘の末、シナの必殺技アティテュード・アジャストメントの前に敗戦を喫してしまいました。しかしロリンズにとっての悪夢はこの後。リングのキャンバスを突き破って現れたマスク姿のケインがロリンズをリングの中に引きずり込んでしまいます…

――遂にロリンズvs.ケインが決定!


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●〜これはケインの心理戦か?二重人格か?〜

 スマックダウン#840(10/5 放送)にも平然と現れ、運営部長として番組を取り仕切るケインでしたが、ロウ#1166(10/8 放送)ではWWE 本社人事部による勤務査定が行われました。すると、ケインには問題があるどころかその勤務態度がプロとして高く評価され、むしろにロリンズに対して厳しい査定が下される結果に。これにキレたロリンズはケインに詰め寄り、必殺技ペディグリーを見舞っただけでなくイスで乱打、欠場の原因となった負傷箇所の左足首をさらに傷めつけました。左足首の痛みに悲鳴を上げていたケインでしたが、救急車に担ぎ込まれると様子が一変。急停止した救急車から姿を現したのは、マスク姿の「赤い悪魔」ケインでした。文字通り悪魔と化したケインにはイス攻撃も全く効かず、ロリンズは虎の子のWWE世界ヘビー級のベルトを置き去りにして逃げ出す始末。


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 翌週のロウ#1167(10/15 放送)で、ロリンズとケインのいざこざにウンザリしたステファニーは、次回PPV「ヘル・イン・ア・セル」でロリンズと「赤い悪魔」ケインの王座戦を決定します。ただしケインが負けた場合、運営部長の職を解くという条件が付けられます。その番組内でタッグを組み、ババレイ&ディーボンのダッドリーブラザーズと対戦したロリンズとケインでしたが、ケインを信用出来ないロリンズは、交代してコーナーに控えるケインに手錠をかけ、コーナーに釘付けにします。しかし試合中ロリンズ自身が激突したため手錠は外れ、ケインはトレーナーの肩を借りて医務室へと向かいます。ローンバトルで苦戦、反則負けとなったロリンズの前に戻ってきたのは、赤いマスクのケインでした。「赤い悪魔」はロリンズをテーブルに叩きつけてKOし、王座奪取をアピール。
 ケインは本当に二重人格になってしまったのでしょうか?それともこれはすべてケインの仕掛けた心理戦なのでしょうか?

●二つの抗争は最も危険で残酷な試合形式、「ヘル・イン・ア・セル」戦へ!

 PPV「サマースラム」で行われたアンダーテイカーとブロック・レスナーの対戦は、レフェリーの死角でのテイカーのタップや急所攻撃などにより、決着どころかさらに遺恨を深める結果となりました。これを受け両者は次回PPV「ヘル・イン・ア・セル」で、WWE の数ある試合形式の中でも最も危険で残酷な試合形式「ヘル・イン・ア・セル」戦で決着を着けることが決定しました。


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 これは、リングの四方だけでなく天井までもが金網で覆われた邪魔の入らない「セル」の中で行われ、反則裁定はなく勝敗はフォールかギブアップで決します。
 テイカーは過去数多くのセル戦を戦っていますが、レスナーがセルの中に足を踏み入れたのはわずか一度のみ。その際はテイカーから勝利を収めているレスナーですが、この経験の差が勝敗を左右するのでしょうか?


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 またPPV「ナイト・オブ・チャンピオンズ」でクリス・ジェリコ、ディーン・アンブローズと組み、ワイアット・ファミリーとの抗争を終結させようとしたロマン・レインズでしたが、ジェリコの勇み足で敗れてしまいました。長引く抗争に終止符を打つべく、スマックダウン#841(10/12 放送) でファミリーの長ブレイ・ワイアットの前に現れたレインズは、「ヘル・イン・ア・セル。」と一言だけ発しました。これにより、この両者も「セル」の中での決着戦となりました。
 はたして、この二大抗争はどのような結末を迎えるするのでしょうか?

●「NXTテイクオーバー:リスペクト」は、感動の結末に!

 10/16に放送されたNXT スペシャル「NXT テイクオーバー:リスペクト」は、P1 でもご紹介した通り、日本人初のNXT ディーバ、アスカのリングデビューで日本のWWE/NXT ユニバースからも注目を集めましたが、それ以外にも見どころが満載でした。


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 日本でも活躍していたアポロ・クルーズは、NXT のトップグループの一角でもあるタイラー・ブリーズと対戦、激闘の末勝利を収めています。
 またNXT の功労者であるダスティ・ローデスを偲んだタッグトーナメントの準決勝戦と決勝戦も行われました。このトーナメントは8組16人が参加、その中にはタイラー・ブリーズ&ブル・デンプシーのような異色の組み合わせもありましたが、準決勝に駒を進めたのは、NXT王者フィン・ベイラー&サモア・ジョー組、元NXT タッグ王者スコット・ドーソン&ダッシュ・ワイルダー組、一匹狼同士のバロン・コービン&ライノ組、レスリングをベースとしたジェイソン・ジョーダン&チャド・ゲイブル組の4 組でした。いずれ劣らぬ実力者同士の対戦は、目の肥えたNXT ユニバースをうならせる激戦となり、ベイラー&ジョー組とコービン&ライノ組の対戦となった決勝は会場を熱狂の渦に巻き込みました。栄冠を勝ち取ったベイラー&ジョー組を祝福したのは、素顔で登場したダスティン・ローデス(ゴールダスト)、コーディ・ローデス(スターダスト)をはじめとする、亡きWWE殿堂者ダスティ・ローデスの家族でした。


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 そして今回の「テイクオーバー」は、王者ベイリーと挑戦者サーシャ・バンクスが対戦したNXT 女子王座戦がメインを飾りました。この両者は前回のスペシャル「NXTテイクオーバー:ブルックリン」で対戦し、サーシャからベイリーが王座を奪取。その激闘はメインのNXT王座戦を食う勢いで各方面からの評価も高く、年間最高試合の呼び声も高い名勝負となりました。しかし当の両者はその評価に満足せず更なる高みを目指して、30分間戦い続ける過酷なアイアンマンマッチに臨みました。両ディーバが死力を尽くした熱闘は、同志であるNXTスーパースター/ディーバたちだけでなく現場責任者であるリーガルやトリプルHすら感動させるほどの一戦となり、王者ベイリーが防衛を果たしました。

2015-11-04 14:45 この記事だけ表示


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 今年の「WWE Live」は、これまでとは一味もふた味も違う日本公演となった。初日には日本人で2人目の“殿堂者”藤波辰爾が登場、元KENTAのイタミ・ヒデオに呼び込まれ、あいさつをおこなった。2日目にはブロック・レスナーが日本で復活。その模様はWWEネットワークを通じて世界中に配信された。さらには2日目には元プリンス・デヴィットのフィン・ベイラーがNXT王座を奪取、ハウスショーでタイトルが移動するというビッグサプライズが発生した。まさにハウスショーを越えたハウスショー。WWEユニバースも日本のプロレスファンも大満足の2日間だったと言っていいだろう。各大会の試合結果は以下の通り。

★7月3日(金)東京・両国国技館
観衆7704人
第1試合
○ネヴィル(10分32秒、レッドアロー→片エビ固め)コフィ・キングストン●

第2試合
○セザーロ(9分19秒、シャープシューター)キング・バレット●

第3試合
シン・カラ&カリスト(ルチャドラゴンズ)vsディエゴ&フェルナンドwithエル・カリート(ロス・マタドールズ)vsビッグE&エグザビア・ウッズ(ニューデー)
○シン・カラ(9分17秒、フォーリンスター→片エビ固め)エグザビア・ウッズ●

第4試合
○ドルフ・ジグラー(14分58秒、ジグザグ→片エビ固め)ケイン●

第5試合
WWEディーバ選手権試合
○<王者>ニッキー・ベラ(5分14秒、横入り式エビ固め)<挑戦者>タミーナ●
※王者が防衛に成功。

第6試合
○フィン・ベイラー(18分40秒、クー・デ・グラ→片エビ固め)クリス・ジェリコ●

第7試合
○ジョン・シナ(17分0秒、オーエンズのローブロー→反則勝ち)ケビン・オーエンズ●
※試合はすべて時間無制限1本勝負。

★7月4日(土)東京・両国国技館
観衆8646人
第1試合
○セザーロ(8分21秒、シャープシューター)ディエゴ●withフェルナンド&エル・トリート(ロス・マタドールズ)

第2試合
シン・カラ&○カリスト(ルチャドラゴンズ)(6分31秒、スワンダイブ式450°スプラッシュ→片エビ固め)ビッグE&エグザビア・ウッズ●(ニューデー)

第3試合
●ネヴィル(16分20秒、ウォールズ・オブ・ジェリコ)クリス・ジェリコ○

第4試合
WWEディーバ選手権試合トリプルスレットマッチ
<王者>ニッキー・ベラvs<挑戦者>ペイジvs<挑戦者>タミーナ
○ニッキー・ベラ(7分03秒、エルボーバット→片エビ固め)タミーナ●
※第25代王者が防衛に成功。

第5試合
○ブロック・レスナー(2分38秒、F5→片エビ固め)コフィ・キングストン●

第6試合
NXT選手権試合
●<王者>ケビン・オーエンズ(19分21秒、クー・デ・グラ→片エビ固め)<挑戦者>フィン・ベイラー○
※オーエンズが防衛に失敗、ベイラーが第7代王者となる。
※試合はすべて時間無制限1本勝負。


 初日のハイライトは、フォール・オブ・フェーマー藤波辰爾の登場だった。日本版セレモニーの開催は、第3試合終了後。左肩負傷で欠場中のNXTスーパースター、イタミ・ヒデオが紹介するかたちで、ドラゴンがリングに上がったのである。藤波の右手薬指には殿堂者に贈られる指輪が光り輝いていた。藤波はマイクを取り、感謝の意を述べる。そのなかには息子LEONAについての言及もあった。LEONAはレッスルマニア前日の3月28日、現地で開催された式典に出席した。そしてこんどは母国のリングで父の晴れ姿を目に焼き付けた。そのなかで自分について父が話したのだ。アメリカと日本でLEONAがなにを感じたのか。LEONAとWWEが将来リンクする日はやってくるのか。日本での殿堂式典は、過去を振り返るのではなく未来を見据えたものになっていた。



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 初日のメインでおこなわれたジョン・シナvsケビン・オーエンズの一騎打ちは、現時点におけるWWEのもっとも旬なカードである。しかも現地同様、チャンピオンvsチャンピオンとしておこなわれ、US(ユナイテッドステイツ)王者のシナとNXT王者のオーエンズがノンタイトルながら真っ向勝負を展開。この2人は前日のシンガポール公演でもシングルマッチで闘っているにもかかわらず、疲れを感じさせないPPV級の激闘を見せた。日本公演史上最高の内容と言っていいのではなかろうか。しかしながら、オーエンズの反則攻撃により試合は唐突に終結してしまう。こんなバッドエンドも日本公演史上初めてだろう。この試合は双方の意味で、日本公演史に残る闘いとなったのである。



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 2日目は、なんといってもブロック・レスナーのカムバック戦が世界的大注目だった。これはハウスショーにおけるゲスト参戦にとどまらず、本国でも宣伝される大がかりなものとなっていた。WWEネットワークで世界配信され、「THE BEAST IN THE EAST」(野獣極東に現る)という大会名までついていたのだ。レスナーにとっては、3・29「レッスルマニア31」以来の実戦。イタミ・ヒデオがPRで来日した際に、レスナーの特別参戦が発表されたのだが、その後現地では「ロウ」6・15クリーブランドに突如出現し、出場停止処分が解けた。とはいえ、各地で試合をするわけではなく、日本公演が復活の場に選ばれたのだ。さらには、セス・ロリンズにもっていかれたWWE世界ヘビー級王座に挑戦する7・19「バトルグラウンド」まで正式な試合はない。しかも日本にやってくるのはIGF以来8年ぶり(2007年6・29両国でのカート・アングル戦)で、WWEスーパースターとしてやってくるのは12年ぶり(WWEヘビー級王者として来日した2003年7・17&18横浜、7・19神戸以来)。それだけに、貴重極まりないカードだったのだ。

 日本上陸を果たしたレスナーは、対戦相手のコフィ・キングストンはおろか、仲間のビッグE、エグザビア・ウッズにもスープレックスを連発。両国が“スープレックスシティー”と化すと、嵐のように去っていった。試合時間にすればわずか2分38秒、番外戦を入れても5分強といったところか。それでも得られた、とんでもない満足感。ただただ、すごいものを見たという思いである。

 そして、2日目におけるもうひとつのハイライトは、プリンス・デヴィットとして新日本プロレスで活躍していたフィン・ベイラーがおこなう日本凱旋のタイトルマッチだ。シナとの抗争を繰り広げるオーエンズのベルトに挑戦する大一番である。
 前日、デヴィットは“日本育ちの先輩”にあたるクリス・ジェリコと対戦。しかも勝利をゲットし、試合後にはジェリコから祝福された。「この試合はオレのほうからリクエストした。オマエがどれだけできるか見たかったんだ。トーキョー、ジャパンのファンは世界でももっともすばらしいファン。この試合を東京で見せられて光栄だ。オマエのほうがベターだったな。明日はケビン・オーエンズとNXTチャンピオンシップだろ。がんばれよ、おめでとう」。これに応えてベイラーは「トーキョー。オツカレサマデシタ! キョウハアリガトウ。ダケド、アシタ、NXTチャンピオンシップデス。ワタシハフィン・ベイラー、ガンバリマス!」と、WWEスーパースターとしての自己紹介を兼ねてあいさつ、翌日への決意を新たにしたのである。



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 そして迎えたタイトル戦。この試合のベイラーは全身ペイントの勝負姿で登場した。オーエンズのパワー&テクニックに苦しみながらも、デヴィット時代のブラディサンデーも繰り出し、ベルトを手繰り寄せていった。そして最後は、クー・デ・グラと名付けられたダイビングフットスタンプで完全勝利。ハウスショーでのタイトル移動は異例中の異例だ。このサプライズに藤波も登場し、新日本育ちのニューチャンピオンを満面の笑みで祝福した。この模様ももちろん、世界配信。しかも、シナvsオーエンズのシングルは今後、「チャンピオンvsチャンピオン」でなくなるという本国の流れまで変えてしまった。今年の日本公演は、本国にも影響を与えるハウスショーを越えたハウスショーだったと言えるだろう。

今回の2日間は、海外公演における新たなモデルケースとして検討材料となるだろう。それだけに、いまから今後が楽しみで仕方がない。日本公演が、世界のハウスショーの在り方を変えていく。

(構成・文:新井 宏)

2015-07-28 17:28 この記事だけ表示