WWE日本公演両国2DAYS総括。殿堂入りの藤波辰爾をイタミ・ヒデオが呼び込み、シナvsオーエンズがPPV級の激闘。ブロック・レスナーが日本で復活すれば、フィン・ベイラーがNXT王座奪取で、ハウスショーの常識を覆す![WWE]


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 今年の「WWE Live」は、これまでとは一味もふた味も違う日本公演となった。初日には日本人で2人目の“殿堂者”藤波辰爾が登場、元KENTAのイタミ・ヒデオに呼び込まれ、あいさつをおこなった。2日目にはブロック・レスナーが日本で復活。その模様はWWEネットワークを通じて世界中に配信された。さらには2日目には元プリンス・デヴィットのフィン・ベイラーがNXT王座を奪取、ハウスショーでタイトルが移動するというビッグサプライズが発生した。まさにハウスショーを越えたハウスショー。WWEユニバースも日本のプロレスファンも大満足の2日間だったと言っていいだろう。各大会の試合結果は以下の通り。

★7月3日(金)東京・両国国技館
観衆7704人
第1試合
○ネヴィル(10分32秒、レッドアロー→片エビ固め)コフィ・キングストン●

第2試合
○セザーロ(9分19秒、シャープシューター)キング・バレット●

第3試合
シン・カラ&カリスト(ルチャドラゴンズ)vsディエゴ&フェルナンドwithエル・カリート(ロス・マタドールズ)vsビッグE&エグザビア・ウッズ(ニューデー)
○シン・カラ(9分17秒、フォーリンスター→片エビ固め)エグザビア・ウッズ●

第4試合
○ドルフ・ジグラー(14分58秒、ジグザグ→片エビ固め)ケイン●

第5試合
WWEディーバ選手権試合
○<王者>ニッキー・ベラ(5分14秒、横入り式エビ固め)<挑戦者>タミーナ●
※王者が防衛に成功。

第6試合
○フィン・ベイラー(18分40秒、クー・デ・グラ→片エビ固め)クリス・ジェリコ●

第7試合
○ジョン・シナ(17分0秒、オーエンズのローブロー→反則勝ち)ケビン・オーエンズ●
※試合はすべて時間無制限1本勝負。

★7月4日(土)東京・両国国技館
観衆8646人
第1試合
○セザーロ(8分21秒、シャープシューター)ディエゴ●withフェルナンド&エル・トリート(ロス・マタドールズ)

第2試合
シン・カラ&○カリスト(ルチャドラゴンズ)(6分31秒、スワンダイブ式450°スプラッシュ→片エビ固め)ビッグE&エグザビア・ウッズ●(ニューデー)

第3試合
●ネヴィル(16分20秒、ウォールズ・オブ・ジェリコ)クリス・ジェリコ○

第4試合
WWEディーバ選手権試合トリプルスレットマッチ
<王者>ニッキー・ベラvs<挑戦者>ペイジvs<挑戦者>タミーナ
○ニッキー・ベラ(7分03秒、エルボーバット→片エビ固め)タミーナ●
※第25代王者が防衛に成功。

第5試合
○ブロック・レスナー(2分38秒、F5→片エビ固め)コフィ・キングストン●

第6試合
NXT選手権試合
●<王者>ケビン・オーエンズ(19分21秒、クー・デ・グラ→片エビ固め)<挑戦者>フィン・ベイラー○
※オーエンズが防衛に失敗、ベイラーが第7代王者となる。
※試合はすべて時間無制限1本勝負。


 初日のハイライトは、フォール・オブ・フェーマー藤波辰爾の登場だった。日本版セレモニーの開催は、第3試合終了後。左肩負傷で欠場中のNXTスーパースター、イタミ・ヒデオが紹介するかたちで、ドラゴンがリングに上がったのである。藤波の右手薬指には殿堂者に贈られる指輪が光り輝いていた。藤波はマイクを取り、感謝の意を述べる。そのなかには息子LEONAについての言及もあった。LEONAはレッスルマニア前日の3月28日、現地で開催された式典に出席した。そしてこんどは母国のリングで父の晴れ姿を目に焼き付けた。そのなかで自分について父が話したのだ。アメリカと日本でLEONAがなにを感じたのか。LEONAとWWEが将来リンクする日はやってくるのか。日本での殿堂式典は、過去を振り返るのではなく未来を見据えたものになっていた。



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 初日のメインでおこなわれたジョン・シナvsケビン・オーエンズの一騎打ちは、現時点におけるWWEのもっとも旬なカードである。しかも現地同様、チャンピオンvsチャンピオンとしておこなわれ、US(ユナイテッドステイツ)王者のシナとNXT王者のオーエンズがノンタイトルながら真っ向勝負を展開。この2人は前日のシンガポール公演でもシングルマッチで闘っているにもかかわらず、疲れを感じさせないPPV級の激闘を見せた。日本公演史上最高の内容と言っていいのではなかろうか。しかしながら、オーエンズの反則攻撃により試合は唐突に終結してしまう。こんなバッドエンドも日本公演史上初めてだろう。この試合は双方の意味で、日本公演史に残る闘いとなったのである。



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 2日目は、なんといってもブロック・レスナーのカムバック戦が世界的大注目だった。これはハウスショーにおけるゲスト参戦にとどまらず、本国でも宣伝される大がかりなものとなっていた。WWEネットワークで世界配信され、「THE BEAST IN THE EAST」(野獣極東に現る)という大会名までついていたのだ。レスナーにとっては、3・29「レッスルマニア31」以来の実戦。イタミ・ヒデオがPRで来日した際に、レスナーの特別参戦が発表されたのだが、その後現地では「ロウ」6・15クリーブランドに突如出現し、出場停止処分が解けた。とはいえ、各地で試合をするわけではなく、日本公演が復活の場に選ばれたのだ。さらには、セス・ロリンズにもっていかれたWWE世界ヘビー級王座に挑戦する7・19「バトルグラウンド」まで正式な試合はない。しかも日本にやってくるのはIGF以来8年ぶり(2007年6・29両国でのカート・アングル戦)で、WWEスーパースターとしてやってくるのは12年ぶり(WWEヘビー級王者として来日した2003年7・17&18横浜、7・19神戸以来)。それだけに、貴重極まりないカードだったのだ。

 日本上陸を果たしたレスナーは、対戦相手のコフィ・キングストンはおろか、仲間のビッグE、エグザビア・ウッズにもスープレックスを連発。両国が“スープレックスシティー”と化すと、嵐のように去っていった。試合時間にすればわずか2分38秒、番外戦を入れても5分強といったところか。それでも得られた、とんでもない満足感。ただただ、すごいものを見たという思いである。

 そして、2日目におけるもうひとつのハイライトは、プリンス・デヴィットとして新日本プロレスで活躍していたフィン・ベイラーがおこなう日本凱旋のタイトルマッチだ。シナとの抗争を繰り広げるオーエンズのベルトに挑戦する大一番である。
 前日、デヴィットは“日本育ちの先輩”にあたるクリス・ジェリコと対戦。しかも勝利をゲットし、試合後にはジェリコから祝福された。「この試合はオレのほうからリクエストした。オマエがどれだけできるか見たかったんだ。トーキョー、ジャパンのファンは世界でももっともすばらしいファン。この試合を東京で見せられて光栄だ。オマエのほうがベターだったな。明日はケビン・オーエンズとNXTチャンピオンシップだろ。がんばれよ、おめでとう」。これに応えてベイラーは「トーキョー。オツカレサマデシタ! キョウハアリガトウ。ダケド、アシタ、NXTチャンピオンシップデス。ワタシハフィン・ベイラー、ガンバリマス!」と、WWEスーパースターとしての自己紹介を兼ねてあいさつ、翌日への決意を新たにしたのである。



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 そして迎えたタイトル戦。この試合のベイラーは全身ペイントの勝負姿で登場した。オーエンズのパワー&テクニックに苦しみながらも、デヴィット時代のブラディサンデーも繰り出し、ベルトを手繰り寄せていった。そして最後は、クー・デ・グラと名付けられたダイビングフットスタンプで完全勝利。ハウスショーでのタイトル移動は異例中の異例だ。このサプライズに藤波も登場し、新日本育ちのニューチャンピオンを満面の笑みで祝福した。この模様ももちろん、世界配信。しかも、シナvsオーエンズのシングルは今後、「チャンピオンvsチャンピオン」でなくなるという本国の流れまで変えてしまった。今年の日本公演は、本国にも影響を与えるハウスショーを越えたハウスショーだったと言えるだろう。

今回の2日間は、海外公演における新たなモデルケースとして検討材料となるだろう。それだけに、いまから今後が楽しみで仕方がない。日本公演が、世界のハウスショーの在り方を変えていく。

(構成・文:新井 宏)

2015-07-28 17:28 この記事だけ表示