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 3日、リアルジャパンプロレスの初代タイガーマスク、新闔会長、榛葉賀津也コミッショナー、平井丈雅代表が帝国ホテル・中華料理『北京』レセプションルームで記者会見を行い、12月7日(木)に『原点回帰』プロレス大会を後楽園ホールで開催(実行委員会主催)すると発表した。

■納谷デビュー戦に激怒 プロデュース大会開催を決意

 かつて新日本プロレスで様々な大企画を実現させた“過激な仕掛け人”新濶長がプロデューサーを務めるという今大会。このプロジェクトが生まれたキッカケは、9・14後楽園ホール大会で行われた“大鵬三世”納谷幸男のデビュー戦から感じた“怒り”だった。

 新濶長は納谷のデビューに大きな期待を持っていた。今のプロレス界の現状を憂えてきた新濶長にとって、この試合は言わば「お釈迦様が地獄に垂らした一本の糸」。かつてのプロレスを取り戻すキッカケになると考えていた。そのため、直前に行われた金沢合宿にも同行。営業面でもバックアップしていた。


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 そして迎えたデビュー戦。新濶長の思いはズタズタに引き裂かれた。対戦相手となった雷神矢口のセコンドには邪道軍、魔世軍が大挙して陣取り、何度も試合に介入。場外戦では集団暴行を働き、リングサイドは大混乱に陥った。納谷がそのポテンシャルを発揮する場面もあったが、有刺鉄線バットや毒霧、パウダーなどが乱れ飛び、反則暴走が続いた。

 リングサイドで試合を見守っていた新濶長は激怒。納谷の勝利で一応の決着がついたものの、気持ちは収まらず、その後の試合を見ずに会場をあとにしたという。「やってしまった後悔よりも、やらなかった後悔の方が何倍も重い。途中で私は榛葉コミッショナーと一緒にリングに上がるべきだった。『この試合を中止します。1試合挟んで、改めてあとで再戦させます。リングサイドから全員立ち退け』と言ってやるべきだった。そういう後悔の念があります」と悔しさをにじませた。

 そこまでの怒りが湧いてきたのも、デビュー戦という晴れ舞台がいかに大切なのかを知っているからこそ。「タイガーマスクは何百万人に1人の素質を持った選手でしたが、彼のデビュー戦に関わったのは、私にとって誇りであり、喜びですよ。未だに『タイガーマスクを作った男』と私はどこに行っても説明されます」と胸を張った新濶長は、「デビュー戦は一生に一度だけ。納谷幸男は大鵬3世であって、そういう血筋を引いた人がデビューするということだったら、レスラー同士も一緒に励まして、何とか彼のデビュー戦を盛り立てようという気持ちにならないのかと私は思った」と疑問符をつけた。

 大会終了後、新濶長はすぐに平井丈雅代表に状況を確認。こんな試合になってしまったことを叱責し、一時は「今日限りでプロレス人生を終わりにする」という覚悟まで持った。その後、初代タイガーマスクと何度も話し合いを持ったが、「新間さん、簡単なことです。原点回帰です」という言葉を聞き、自らがプロデューサーとして原点回帰の大会を開催すると決意した。  本来ならば12月にリアルジャパンの大会が行われる予定だったが、今後の興行は一旦白紙に。『原点回帰』プロレス大会実行委員会主催、リアルジャパン協力という形で今回の大会は行われる。

■S・タイガーのレジェンド王座戦と納谷のデビュー第2戦が決定

 現在、決まっているのは、スーパー・タイガーのレジェンド王座防衛戦と納谷のデビュー2戦目が行われていることのみ。終わった試合をなかったことにはできないが、「人生一度しかないデビュー戦をああいう形で終わらせてしまった納谷幸男に、もう一度デビュー戦を組みたいと私は思いました」と、新濶長の心情としては“本当の意味での納谷デビュー戦”となる。対戦相手は未定で、これからリストアップしていく予定。

 新濶長は「しがらみも全部切って、蜘蛛の糸も全部切ってしまって、原点回帰を今一度皆さんとともにやっていきたい」と断言。これまでのリアルジャパンの戦いに一旦区切りを付け、継続参戦してきた選手にも大なたを振るい、出場するレスラーはストロングスタイルに順応できるメンバーに厳選する予定だ。その他、団体オフィシャルのグッズ以外の販売禁止、レスラー以外の控え室入室絶対禁止の厳正化なども打ち出した。

 新濶長は「鍛えに鍛えた肉体が6m40(四方)の中で真剣に戦うことがプロレスであります」と改めて定義。「力道山が日本に持ってきて、アントニオ猪木、ジャイアント馬場が育てた、そして、タイガーマスクが世に広めたこのプロレスが原点回帰するよう取り組んでいきたい」と意気込んだ。

 新濶長の熱い言葉を受けて、「これだけ怒った姿を見たのは初めて」という榛葉コミッショナーも「花のあとは実がなり、また種ができる。もう一度ストロングスタイルの種を蒔いて、リアルジャパンのリングからその芽を大切に育てていけるように、コミッショナーも努力をさせていただきたいと思います」と全面バックアップを約束した。


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■初代タイガーは新濶長の判断を歓迎

 会見に同席した初代タイガーも「12月7日からのリアルジャパンプロレスは変わります。改革を行います」と決意をにじませ、「新間さんが怒ったというのも、私にとってはビッグチャンスであります。納谷幸男の試合に対しても怒っていましたが、私からしてみれば、プロレス界全体に対して怒っていると思います」と真意を説明した。


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 ストロングスタイルの復興をテーマに、自らもリングに上がって激闘を重ねてきたが、全ての選手がリアルジャパンの想い描く試合をできるわけではない。興行を定期的に行うためには、方向性とは相反する要素を取り入れる必要も出てくる。「私がストロングスタイル、ストロングスタイルと言いながらも、『ストロングスタイル以外がいっぱいあるじゃないですか』とかなり言われていました。しかし、それで(ストロングスタイルの試合以外)お客さんが沸いたりもしていました」と矛盾も抱えていた。

 「ちゃんとした幸男の実力をリング上で出すために、そういうものは必要なかった。ストロングスタイルとそうじゃないものが混じり合ってしまった。それをやるしかないような現状があるんです。でも、新間さんが怒って無くそうじゃないかと言ってくれたので、僕も凄くホッとしています」と話した初代タイガーマスクは、「僕もやろうと思っていたけれど、いろんな兼ね合いやしがらみがあってできなかった。それを新間さんがバチンと断ち切ってくれたような気がします」と新濶長の判断を歓迎した。

 初代タイガーはこれまでも過剰化・複雑化が進み、根本にあるべき「戦い」が希薄になっているプロレス界の現状に苦言を呈してきた。「プロレスは受けるから凄いんだという言葉もありますが、ストロングスタイルは違います。一発で決める技を持っている。それがストロングスタイルの練習で培ってきた選手たちがリング上で行う姿であります。それは実力がないとできません」と改めてその思いを語った初代タイガーは、「プライドがあるプロレスというものはどういうものか。皆さんにお伝えしていきたい」と宣言。体調面を考慮して試合出場は見合わせてきたが、プロレスのあるべき姿をファンにリング上から言葉で説明する案が浮上した。

 また「タイガーマスクとして戦っていた全盛期の時も、一番怖かったのが猪木さんの目であり、山本(小鉄)さんの目でした。いつもビクビクしながら試合をやっていました。練習もそうでしたね」と語り、当時の猪木たち同様に、前座の試合内容に目を光らせ、場合によっては鉄拳制裁も辞さない構えを見せた。

 集まった記者団に対し、熱い言葉で“原点回帰”を訴えた新濶長。この大会が来年以降のリアルジャパン、さらにはプロレス界に影響を与える可能性は高いだけに、大きな注目を集める興行になりそうだ。


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(取材・文:村上謙三久)



■大会名:初代タイガーマスク佐山サトル認定『原点回帰』プロレス大会
■日時:12/7(木)
■会場:後楽園ホール

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2017-10-05 16:55 この記事だけ表示